【2024年】国民の経済変動から見る不動産アプローチの方向性とは?

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不動産流通推進センターが公開している2024年不動産統計調査によると、物価の上昇に伴い、不動産業のニーズが低迷しつつあると判明しました。

本記事では、現在日本で起きている円安問題なども関係している「経済変動」の統計調査をもとに、2024年最新の「国民の経済変動の傾向」「影響するポイント」を説明したのち、不動産業界が今後実施すべきアプローチについてわかりやすく解説します。

2024年における国民の経済変動の傾向

出典:不動産流通推進センター「不動産業統計集」

不動産流通推進センターが公開している不動産統計集の国内総生産(GDP)と不動産業の関係を表すグラフによると、国内総生産が全体的にプラスである一方で、不動産業は徐々に右肩下がりの結果を示していることがわかりました。

まず上記のグラフから、国民の経済変動を問わず不動産に対するニーズが下がり続けているということがわかります。

また、以下に同資料で説明されている物価指数のグラフを掲載しました。

【物価指数とは】

日常生活で購入するさまざまな商品・サービスの価格を平均したもの

出典:不動産流通推進センター「不動産業統計集」

企業・消費者ともに物価指数は上がり続けており、購入できる商品はもちろん不動産の価格上昇が不動産業の低迷化を進めるきっかけになっているとわかります。

経済変動の将来性

前述したグラフからもわかるように、過去の傾向から今後も不動産業の低迷化および物価の上昇が続いていくと予想されます。

現在の売り手(不動産業)に対して買い手不足が続くと、倒産のリスクが高まることはもちろん、人件費をまかなえずリストラといった問題に発展するかもしれません。

経済変動に影響する2つのポイント

経済変動で悪い影響が起きているのは、主に2つの理由が関係しています。なぜ経済変動に伴う不動産業の低迷化が続くと予想されるのか、具体的な理由をまとめました。

少子高齢化による税金の変化

まず日本で少子高齢化の問題が拡大していることが、経済変動に悪い影響を及ぼしています。

例えば2024年現在、3割近い人たちが高齢者という枠に該当しており、2025年には日本国民の多くの割合を占める「団塊の世代」が後期高齢者に変わっていくような状況です。そういったなかで影響してくるのが、高齢者の病気や健康に関する社会保険の問題となります。

高齢者が安全に生活できるように健康保険料といった社会保険の負担が増加することにより、若い人たちの税金負担が膨らみます。その結果、日常的に使えるお金・貯金できるお金が減り、若い人たちが不動産の購入などを考える機会を失ってしまうのです。

世界情勢の影響

経済変動による不動産業の低迷は、次のような世界情勢の影響が関係しています。

  • 世界的なインフレ(円安問題)
  • 世界的な戦争の激化に伴う材料費の高騰

不動産に使われる木材といった材料は、貿易を通じて輸入するため、インフレの影響をもろに受けてしまいます。またロシア・ウクライナ戦争のほか、パレスチナ問題なども激化していることから、材料不足に伴う価格の高騰が続いている状況です。

そのため不動産業では住宅建築・販売の価格が高騰しており、消費者が手持ちの資金やローンだけでは希望する物件を購入しにくい状況が続いています。世界情勢が回復しない限り、今後も不動産業にマイナスの影響が及ぶかもしれません。

不動産業でできる今後のアプローチとは?

経済変動による影響をダイレクトに受けている不動産業が今後も生き残り続けるためには、消費者ニーズに合うアプローチに取り組むことが欠かせません。参考として、今後必要になるであろう取り組みの例を2つ紹介します。

ライフプランニング相談への対応の重要性が増す

物価上昇といった影響を受けている現代では、ライフプランニングなど、将来を見据えた物件建築・購入を計画するニーズが上昇していくと予想されます。

例えば、消費者が今の資金で不動産を購入できるのか一緒に検討したり、おすすめのローンや、効率的な返済の流れなどをアドバイスしたりすることで消費者の安心を得やすくなるでしょう。

税金が増えて貯金がしにくくなった現代では、ライフプランニングの無料相談や契約締結後の継続的なサポートを提供する不動産業が求められていくかもしれません。

長期ローンを組む際の資産運用の必要性が増す

これまで住宅ローンは35年程度で返済するのが一般的でしたが、最近は50年ローンなどの長期ローンが登場しています。とはいえ、長期ローンを組んだとしても安定的にローンを返済できるとは限りません。

そこで必要となるのが、無理なくローンの返済を続けるための資産運用です。資産運用を兼ねて長期ローンの返済計画を立てる消費者なども増えていることから、新NISAといった投資信託など、将来得られる分配金などを計画に組み込みつつ返済プランのサポート・フォローを提供する必要が増していくでしょう。

まとめ

日本国内で起きている「少子高齢化問題・増税」、世界で起きている「戦争・材料不足」の影響を受けて経済変動が悪い方向に進み、不動産に手を出しにくくなっている消費者が増え続けています。そういったなかで不動産業を続けていくためには、ライフプランニング・資産運用といったソフト面のフォローが重要になるでしょう。

前述した問題は今後も長期化すると予想されるため、競合他社よりもすばやく消費者ニーズに合う取り組みをスタートすることが重要です。