ZEH住宅とは?基準からメリットと3つの注意点を徹底解説

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住宅業界では、エネルギー効率の向上や環境負荷の軽減を目的としたZEHが注目を集めています。世界的な環境問題への取り組みやカーボンニュートラルの実現に向けた施策の実施もふまえて、今後も日本ではZEHが広がっていくと予想されます。

では、事業者視点からZEHを施工するためにはどのような条件を満たす必要があるのでしょうか。本記事では、ZEH住宅の基準や特徴、メリットとデメリットについてみていきましょう。

「トレンドワード:ZEH 住宅」

ZEH(Net Zero Energy House)は、創エネ・省エネによって、エネルギー消費量がゼロ以下となる住宅のことを意味します。また、次のような基準が決まっている点も知っておきましょう。

  • 断熱性能の確保:UA値0.40から0.60以下。地域によって異なるがこれ以上の断熱性能のある住宅も多い
  • 高エネルギー効率の実現:石油、天然ガスなどの一次エネルギーの消費量を20%以上カットする。そのため、高効率設備の導入が必須。
  • 太陽光発電の導入:太陽光発電はZEHの創エネの根幹となる。EV充電器があれば、ZEHよりも条件の厳しいZEH+の要件の1つを満たせる。エネルギーを管理するためのシステム導入も必要となる。

ZEHでは、これまでと比較し、省エネルギーを実現したうえで人々の暮らしやすさを向上させる住宅だといえます。また、ZEHの施工に関して、技術力の証明につながるだけでなく、長期的な顧客とのつながりをより確保しやすくなるといったメリットもあります。

ZEHビルダーとプランナーの条件とは

ZEHビルダーは、ZEHの施行認可がある工務店及びハウスメーカーを意味する言葉です。対して、ZEHプランナーは設計事務所を対象に認可されます。

ビルダー及びプランナーはSII(一般社団法人環境共創イニシアチブ)に申請が必要です。そして、ZEHビルダーやプランナーとなるためには、次のような条件を満たさなければなりません。

  1. ZEH普及目標を策定している:例2020年50%→2025年75%など
  2. 年度ごとの普及実績の開示:指定された年度内の施工実績を開示する。ホームページがなくてもいいが、ない場合は資料にまとめる
  3. 具体的な普及施策を保有し説明できる:ZEHの普及に関してどのような施策を展開し、設計段階からどのようにZEHを提案し普及させていくのかをホームページや資料で解説する
  4. 報告実績の開示への合意:申請する場合、数値の定期的な報告を行ったうえで、報告内容を第三者に開示できるようにする
  5. 補助金の指名停止や契約に対する指名停止になっていない

ZEHの施工に関しては、長期的な視点から施工計画や普及計画を立てていく必要があります。そのため、申請の難易度が事業者によっては高いといえるため、条件を確認し、準備を行っていきましょう。

ZEHを施工するメリット

事業者の視点から、ZEHを施工するメリットについてみていきましょう。居住者だけでなく、事業者に対しても技術の証明やブランディングに役立つといったメリットがある点は意識しておくことが大切です。

自社の技術の証明につながる

ZEHを施工する場合、設備として何が対象になるのかといった知識だけでなく、構造や設計の段階で工夫が必要となります。そのため、ZEHの施工を行い普及率を上げることは、自社の技術の証明につながります。

とくに、CO2濃度による外気量制御や空調ファン制御の高度化といった15の未評価技術は自社の技術力が試される項目の1つです。

社会的信頼度が向上する

ZEHの施工によって、「環境に配慮した家づくり」や「環境に配慮した企業活動を行っている」と評価されやすくなります。住宅業界では、ZEHの普及率は低く、大手ハウスメーカー以外は対応していないケースも少なくありません。

そういった中でZEHビルダーやプランナーを取得し、いち早く施工に取り組めば、社会的信用度がより高まる可能性があるといえるでしょう。

法規制、基準への対応が実施しやすくなる

建築物省エネ法なども含めて、今後建築・住宅業界では施工する建物に対して環境に配慮した法規制や基準が制定されていく可能性が高いといえます。そのうえで、ZEH基準以上の住宅を施工できる場合、今後の法規制にも対応しやすくなるでしょう。

とくに、今後、住宅業界で企業活動を広げて行きたいといった場合には、施工の段階から環境に配慮しなければならない状況になると予想されます。変化に対応するためにも、自社でZEHを施工できる環境を作っておきましょう。

ZEHの施工を検討する場合の3つの注意点

ここでは、ZEHの施工を検討する場合の注意点についてみていきましょう。

ZEHビルダーでなければ施主が補助金を申請できない

ZEHに対する補助金は、ZEHビルダー・プランナーでなければ申請できません。そのため、施主がZEHの補助金を活用する目的であれば、事業者はZEHビルダーを取得している必要があります。

ZEHの基準を満たすための技術や知識、適切な施工管理が行えるかどうかを証明するためにもZEHビルターを取得しなければなりません。

施工実績や普及率のアピールが必要になる

ZEHを施工し続ける場合、ビルダーの取得を行ったうえで、施工実績や普及率はホームページに掲載し続ける必要があります。顧客への訴求力向上の狙いもあるものの、普及率を会社として引き上げたかどうか、補助金を活用する場合の目安として評価される点は知っておきましょう。

提案時に設備やシステムの説明などの入念な解説が必要になる

従来の住宅と比べ、ZEHは断熱性能が上がっています。そして、再生可能エネルギーを扱っている場合には、エネルギー管理システム(HEMS)が導入されることから、システムの使い方や管理方法を事業者が解説しなければなりません。

また、コストや初期費用が高くなりがちであるため、高額な場合は何故高額なのかを明確に説明する必要があります。具体的に説明できるマニュアルの準備やわからないことに応えられるように情報をまとめて共有しておきましょう。

まとめ

ZEHは、環境に配慮した住宅であり、消費エネルギーの総量を設備やシステムによってゼロ以下とすることを目的としています。日本では普及率が少しずつ向上している状況にあり、環境に配慮した建物や事業を行う場合には、必ず意識しなければならないものだといえるでしょう。

今後も環境に配慮した家づくりを行う場合は、ZEHの基準や法律の変化に注目していきましょう。