対話型AIは住宅業界に取り入れられる?使用事例を解説

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近年では、AIを活用したサービスや商品が急速に増加しつつあります。たとえば、Webサイトからの問い合わせを、人間の代わりにAIが応答するといったケースは珍しいものではなくなりました。

また、住宅に関連して、家電の制御やエネルギーの管理、センサーによる子ども・高齢者の見守りなどもAIを活用できるようになっています。しかし、「どのように導入するのかわからない」「実際にどういった場面で役立つのかわからない」というケースもあるのではないでしょうか。

今回は、AIの中でも対話AIがどのような場面に役立つのかに焦点を当てながら、今後住宅業界に広がっていくかどうかという予想について解説していきます。

「トレンドワード:対話型AI」

対話型AIは、人間とのコミュニケーションを通じて結果を出力するAIを意味するものです。たとえば、文章や発話によってAIに実行してほしい内容や教えて欲しい内容を入力させることで、業務のサポートや可視化なども可能となります。

住宅の場合であれば、対話型AI関連サービスと連携できる機器をネットワークでつないだうえで、次のような項目をこれまでよりも手軽に実施できるようになるでしょう。

  • 監視カメラの映像の確認
  • 室内の温度管理
  • あらゆる施錠との連携
  • 太陽光発電の発電量の予測、エネルギーの可視化、エコキュートとの連動
  • スマートスピーカーとの連携(カーテンの開け閉め、電源のオン・オフ)

住宅業界で対話型AIが活躍する場面

ここでは、住宅業界で対話型AIが活躍する場面についてみていきましょう。音声に加えて、カメラやセンサー付きであれば顧客の行動パターンを学習し、室内の家電を動かすといった方法も選択できます。

現状では、対応サービスや対応メーカーが限られるものの、今後統一された規格が登場した場合には、既存の住宅でも部分的にスマートホームと同様の機能性を得られる可能性もあります。

室温管理

スマホやタブレットのアプリを通して、寒暖差の把握や室内の環境、エネルギー把握が可能です。また、モニタリング機能があれば、現状を把握したうえで適切な選択を取れるだけでなく、音声や入力によって、部屋の状態を最適化することもできるでしょう。

また、室内にカメラなどがあれば、現在の状況の共有・異変があった場合の通報や駆けつけサービスなどとの連携もできます。プライバシーに配慮しつつ、より利便性の高い生活が可能となるでしょう。

セキュリティ

人々の働き方が多様的になっている点もふまえて、顧客はニーズに合わせた生活を選択しやすくなりました。セキュリティに関しても、カメラと連携できれば、人物の判断からアラートの表示、現状の共有なども可能です。

加えて、スマホとの連携で声によって、ドアの開閉を行う方法も近年では登場しつつあります。単純に、登録した音声であるかどうかだけを判断するのではなく、特定のキーワードを設定することもできるため、セキュリティの向上にも役立つといえます。

デジタルサイネージ

住宅展示場にあるデジタルサイネージにも対話型AIを活用できます。たとえば、気になるメーカーの住宅のデータを音声認識によって出力したり、対面での接客ではなく、必要なポイントだけをデジタルサイネージで聞いたりするといった使い方も可能です。

現状では、音声を認識し、データを表示するといった仕組みのないものが多いといえます。しかし、今後は人の声を分析し、必要なデータや応答を行うといったタイプのデジタルサイネージの登場が期待できるでしょう。

24時間対応のチャット形式の応対(入居者用チャット)

対話型AIの実装によって、住居に住む人々用のためにチャットを設けるといった使い方も可能です。とくに、単純な問い合わせで済むような内容であれば、チャットサービスによって、人材のリソースを空けたうえで、業務効率化につながります。

とくに、「問い合わせ業務が非常に多いものの、簡単に答えられる質問が多い」場合や「マニュアルさえあれば誰が答えても、解答が変わらない質問が多い」場合にはチャットサービスの導入によって業務効率化や人に頼らないサービスの提供が可能となるでしょう。

介護

今後日本で加速していく高齢化社会をふまえて、介護ロボットを通じたコミュニケーションサービスも実証実験が始まっています。介護ロボットによって、健康状態の確認や雑談を通じたコミュニケーションでの情報共有が可能となります。

また、情報共有によって、家族とのコミュニケーションも取りやすくなるため、日常生活で発生する病気やケガなどの変化にも対応しやすくなるでしょう。現状では、コミュニケーションに特化しているものの、将来的には身の回りの世話の補助なども可能となる可能性が高いといえます。

住宅業界では今後対話型AIの導入が必須?

住宅業界における対話型AIは、活用がスタートしたばかりの施策です。AIやloTに関連する住宅であるスマートホームは5%程度の普及率であるため、現状では必須の取り組みだとはいえないでしょう。

実際に、DXに興味があったとしても、住宅業界で対話型AIの活用を行っているのは13%程度であり、予算を理由に取り組めていない企業も多いのが現状です。

しかし、AIやIoTに関しては利便性の高い生活の提供だけでなく、これまで人力で行っていたサービスの代替も可能です。そのため、今後対話型AIはより日常的に使用されていく可能性のある技術だと判断されます。

まとめ

対話型AIは、音声や文章による命令によって結果を出力するAIです。コミュニケーションを取ることが可能であり、サービスの案内や室内の温度調整などでも使用しやすい技術だといえるでしょう。

現状では、規格が統一されておらず、家電や住宅設備と連携できるAIも数えられる程度であるため、限られた場面でしか使用できないケースも多いでしょう。

しかし、今後、サービスを連携して映像を共有する、現在の自宅の状態を確認するといった使い方もできるようになっていくと想定されます。場合によっては、顧客からのニーズとしてAIとの連携が前提となるケースも多くなっていくといえます。

そのため、対話型AIが住宅業界でどのように活用されていくのか注目しておきましょう。