再び注目を集めるエコキュートとは?今後の予想を解説

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給湯器は、戸建てやマンションといった建築物の形態に関わらず、多くの人々が使用しているものです。給湯器には多数の種類があり、お湯を沸かすためのエネルギーとして、都市ガスやプロパンガス、石油などさまざまな燃料を使用します。

しかし、石油やガスを使用する場合、CO2が排出されることから環境に負荷をかけてしまいます。そういった点から、給湯器の1つであるエコキュートを使用すれば、環境負荷を軽減できます。そのため、給湯機の中でもエコキュートに注目が集まっています。

本記事では、エコキュートがどういったものか、どのようなメリットがあるのかについてふれたうえで、今後より家庭に広がっていくのかといった予想について解説します。

「トレンドワード:エコキュート」

エコキュート(自然冷媒ヒートポンプ給湯機)は、空気の熱を利用してお湯をつくる家庭用の給湯システムを意味します。システムがお湯を作る順番は次のような流れです。

  1. ヒートポンプユニット内にある冷媒が待機中の熱を取り込む
  2. ヒートポンプ内の熱が上昇し冷媒が高温になる
  3. 冷媒によって熱が水に伝わりお湯が作られる

エコキュート内の高温のお湯と水を混合させ、設定温度に合わせていることに加え、タンクに沸かしたお湯を溜められる点も特徴です。

エコキュートの歴史

エコキュートは給湯器に分類されるものです。給湯器に関しては、1930年代に開発され、日本に普及し始めたのは戦争が終わった1950年代でした。1970年代になると家庭において、給湯器を置いておくことが常識化するようになりました。

エコキュートに関して1995年から開発されるようになり、一般的に発売されるようになったのは2001年です。

エコキュートは作られてから23年の歴史があり、現在では900万代が出荷されている状況です。今後、カーボンニュートラルの実現やZEHの普及によって、よりエコキュートが家庭に普及していく可能性があるといえるでしょう。

エコキュートを住宅業界として普及させるメリット

ここでは、エコキュートを住宅業界として普及させるメリットについてみていきましょう。エコキュートは、太陽光をはじめとするたいきの熱を利用して、水を沸かすことが可能です。そして、水を沸かすシステムであるヒートポンプは再生可能エネルギーとして扱われています。

家庭で消費されるCO2を減少させられるため、将来的に日本を含めた世界各国が目指しているカーボンニュートラルの実現につながります。

再生可能エネルギーの使用につながる

エコキュートは再生可能エネルギーとされる空気熱を給湯に活用することが可能です。太陽を空気中から集めてくることに加え、エネルギー効率としても電気やガスで水を沸かすよりも省エネルギーとなる点はメリットといえるでしょう。

また、エコキュートで使用されているヒートポンプは熱を作り上げるものではなく、熱を移動させるものです。次のような順番で熱を移動させられます。

  1. 空気中の熱を吸い込み電気で圧縮させる
  2. 熱を濃縮することで高温にする(この段階で使用する)
  3. 熱を運ぶ冷媒が膨張して低温となる

気温がどれだけ低かった状態でも外気には必ず熱があるため、季節に左右されず再生可能エネルギーを使用することが可能です。

環境負荷を軽減できる

エコキュートは、ガスを使わずにお湯を沸かすことができるため、CO2の削減が可能です。家庭でエネルギー管理を行いたい場合にも、ガスの使用率や使用料金が下がることが想定されるため、今後事業者の義務となってくるエネルギー総量の引き下げにも対応できます。

環境省の「ヒートアイランド現象による環境影響等に関する調査業務」によれば、エコキュートによって約500kgーCO2の削減が可能となるとされています。ヒートアイランドにも効果があり、ヒートポンプが稼働する夜間の屋外の気温を1度まで低下させることができる点から、都市部の環境負荷の軽減につながるといえるでしょう。

災害対策の一環になる

エコキュートは沸いたお湯を内部に溜めておけるため、災害で一次的にお湯を沸かす能力を失ってもお湯を使用することが可能です。この場合は、内部での調整を行っていないため、湯温のチェックが必要であるものの、災害時でも使用できる点はメリットといえるでしょう。

たとえば、容量が560リットルの貯湯タンクであれば、8人家族でも数日間は水が持つ計算となるため、住宅メーカーとしても家族の人数に合わせた適切なサイズを把握しておくことが大切です。

エコキュートは今後さらに広がるか?

ここでは、エコキュートが今後さらに広がるかについてみていきましょう。

省エネ基準は必ず満たす必要がある

省エネ基準は住宅の機能として、以下2つの基準を満たす必要があります。

  • 断熱外皮(外皮平均熱貫流率(UA値)と冷房期の平均日射熱取得率(ηAC値))
  • 創エネ・高効率化(一次エネルギー消費性能)

とくにエコキュートに関しては、一次エネルギーの消費性能に関して、今までのエネルギーを減少させることが可能です。また、ZEHの要件を満たすためにエコキュートを活用できる面もあるため、今後より住宅業界で広がっていく可能性があると想定されます。

全国各地で導入補助金がある

「給湯省エネ2024年事業」も含めたうえで、全国各地でエコキュートの導入に対する補助金を活用できます。また、戸建てやマンションといった制限ではなく、あくまでも対象機器を購入すれば良いケースが多いため、条件はクリアしやすいといえます。

たとえば、宮城県ではスマートエネルギー住宅普及促進事業補助金や東京都の熱と電気の有効利用促進事業などは、エコキュートの購入促進に活用できるでしょう。

まとめ

エコキュートは、2000年代から登場した給湯器です。熱交換器によって、熱を移動させることで、水を沸かすことができます。また、ガスや化石燃料を使用しないため、CO2の排出量を軽減できます。

今後、カーボンニュートラルの実現にむけて、より温室効果ガスを削減する取り組みが求められるようになると想定されます。そのため、住宅業界としてもエコキュートがどの程度まで広がるかに注目しておきましょう。