サステナブル住宅とは?3つのメリットと事例を解説
住宅業界においても、省エネや創エネ、環境に配慮した建物が求められるようになりました。そのため、最近では顧客のニーズとして、サステナブル住宅の供給を望む声も高まっています。
本記事では、サステナブル住宅の概要や建設するうえ求められる視点、メリットなどについて詳しくみていきましょう。
目次
「トレンドワード:サステナブル住宅」
サステナブル住宅は、環境に配慮した住宅を意味するワードです。次のような特徴があります。
- 建築資材はリサイクル材を含めた自然素材を使用する
- 太陽光発電の設備を利用し、省エネ・創エネができる
- メンテナンス性・フレキシブルな間取り
太陽光発電のシステムに関しては、後付けであるものの、住宅として「長く使用できる」「住みやすさ」が重視されているといえます。加えて、ZEHの仕組みを持つ住宅もサステナブル住宅に該当することから、今後より住宅業界でサステナブル住宅が商品として広がっていく可能性があると想定されます。
サステナブル住宅における3つの視点
サステナブル住宅の特徴として、次の3つの視点がある点を知っておきましょう。
- 地球環境-木材を中心とした建材の使用など
- 地域環境-エネルギー可視化による省エネルギーの実施や太陽光発電による電力供給、自然風を利用しやすい設計など
- 生活環境-高断熱・高気密によって効率よくエネルギーを使用し快適な暮らしを提供するなど
住宅を建築する段階から、環境と暮らしを意識した住宅作りを行うため住宅性能が優れているケースが多い点も特徴です。また、木造であったとしてもデザイン性も担保できるため、サステナブル住宅を提供する企業は、「環境に配慮したうえで顧客満足度を高めた商品を提供できる企業」といったブランディングにも役立ちます。
サステナブル住宅における世界の取り組み
ここでは。各国のサステナブル住宅に対する取り組みについてみていきましょう。
国名 | 内容 |
オーストラリア | 全国住宅エネルギー強化スキームによって、住宅のエネルギー評価を行っている。評価基準は、間取りと方位・屋根や壁の材料、遮光、自然風の取り入れ方。 |
イタリア | そもそもサステナブル住宅の建築様式の開発が難しい。しかし、地震の被害を受けた住宅を木材を使用して再建したり、リフォームによって環境に優しい素材を使用する住宅にしたりといった取り組みが始まっている。 |
アメリカ | アメリカ国内で消費されるエネルギーの40%は建物に関するもの。そのため、住宅のエネルギー性能の報告を行うプログラムが始動している。すでに1,770万トンのCO2削減に成功している |
デンマーク | グリーンビルディング協議会によって、建設プロジェクトの評価がスタートしている。中でも廃棄物の30%が建物から出ているため、建材のリサイクルに注力する動きが加速している |
ドイツ | 再生可能エネルギーによる発電を拡大し個人住宅のオイルヒーティングを禁止している。暖房システムを最新設備に変える場合、補助金や助成金を受け取れる点も新しい。 |
これまでの建築物の歴史を踏まえたうえで、環境に配慮した建築物を増加させる、政府として増加させられるような支援を策定していることから、今後は世界中でサステナブル住宅がより増加していくと想定されます。
サステナブル住宅が持つ3つのメリット
ここからはサステナブル住宅が持つ3つのメリットについてみていきましょう。今後、省エネやエネルギー効率の高さ、環境負荷の軽減がより重要視されていくことから、サステナブル住宅を提供するメリットを知っておくことが大切です。
環境負荷が軽減される
サステナブル住宅は環境負荷の面から、木造によって建設されるケースが多いといえます。仮に、長期間使用したあとで取り壊す場合でも、木材の場合はリサイクルが可能であり、循環しやすい材料であるためです。
また、建設する際のCO2排出量が鉄などと比較しても小さいため、地域材や国産材(どちらも木材)を使用しやすい点もメリットです。
SDGsに貢献できる
サステナブル住宅を建設する場合、SDGsの14ある目標のうち、次の項目に貢献可能です。
- 7.エネルギーをみんなに そしてクリーンに
- 11.住み続けられるまちづくりを
- 12.つくる責任 つかう責任
- 13.気候変動に具体的な対策を
- 15.陸の豊かさを守ろう
サステナブル住宅は建材に加え、エネルギー効率にも配慮したうえで建設されます。また、長く使用することが前提であるため、街づくりや環境に配慮した材料を使用することで、長期的な視点からの環境改善に貢献できるといえるでしょう。
顧客満足度の向上が期待できる
サステナブル住宅は、地域環境に配慮した上で人が住みやすい環境を提供します。そのため、長く住みやすく、断熱性・気密性に優れている住宅がほとんどです。また、エネルギー効率に優れた設計・設備が整っているケースが多いことから、省エネ・創エネが実施しやすい点も顧客満足度の向上につながります。
サステナブル住宅の事例
ここでは、実際に行われているサステナブル住宅の事例についてみていきましょう。リサイクル素材の活用などに関しては、顧客のニーズなどもあるものの、エネルギーの循環が比較的容易である点や高断熱高気密といった点は、全てのサステナブル住宅で実現可能な項目です。
自然・リサイクル素材の活用
サステナブル住宅を建設する場合、木材を使用することになります。とくに、「国産材や地域材を使用して、住宅を建設したい」といった顧客のニーズを叶えたうえで、地域環境・経済にも貢献可能です。
また、クロスや床材に関しても自然・リサイクル素材を使用した建物であれば、サステナブル住宅に該当するといえるでしょう。
エネルギーの循環が可能
サステナブル住宅には、使用するエネルギーと作り出すエネルギーを住宅単位で差し引きゼロにする「ZEH」も該当します。とくに、設備に関しては、エネルギー変換率の高い照明や給湯器、太陽光発電システムなどを使用するため、高効率なエネルギー循環を住宅の中で行うことも可能です。
高断熱・高気密の実現
高断熱・高気密を実現することによって、効率的に冷暖房を使用できます。そのため、構造計画や設計の段階から工夫が必要です。しかし、顧客のニーズに合わせて実現できる環境が整いつつあり、建築業界としても今後省エネを追求していく流れであるため、サステナブル住宅を提供する場合の要件の1つとして高断熱・高気密は大切な要素だといえるでしょう。
まとめ
サステナブル住宅は、今後増加していく可能性のある建築物の1つです。環境面の配慮や設備によるエネルギーの高変換など、今後業界として求められていくエネルギー削減・変換といった要素を持ち合わせている建物だといえます。
また、住宅業界においては、住宅における省エネ性能の表示が義務化され、一定の性能を担保できなければ顧客ニーズを満たせない可能性もあります。そのため、今後もサステナブル住宅のニーズと業界の動きに注目していきましょう。