AIカメラは住宅業界に広がるか?今後の展望とは
近年、戸建て住宅や集合住宅では、カメラを防犯対策として、取り付けるケースが増加しつつあります。周辺の住環境に問題がなかったとしても、誰がいつ訪問し、何をしたかを記録でき心理的な安全性を高められる点や異常を察知した場合に警備員が駆けつけることができる点はメリットだといえるでしょう。
そして、防犯対策としてAIカメラを選択する事業者も現れ始めています。本記事では、AIカメラとはどういったものなのか、住宅業界として広がっていく可能性があるのかについてみていきましょう。
目次
「住宅トレンドワード:AIカメラ」
今回は、住宅トレンドワードとして「AIカメラ」をピックアップしていきます。AIによって、撮影・分析・検知まで可能となるため、住宅業界としても顧客の住環境を守る役割を期待できるでしょう。
また、決められたエリア内のAIカメラを連携し、エリアマネジメントにつなげることも可能です。セキュリティ面だけでなく、暮らしの利便性の向上・今後の予測まで立てられるため、生活上のリスクを軽減できる可能性が高いといえます。
AIカメラとは
AIカメラとは、AIが自動的に撮影を行い、データを解析する仕組みをもつカメラです。たとえば、事前に登録していた顔と合致するかどうか、リアルタイムで起こっている出来事を共有し、家庭内に異変がないかどうかなどを検知可能です。
また、以下のような項目の検知が可能であるため、安全管理や警備業務にも役立つ技術の1つとされています。
- 姿勢や背格好まで含めた人・物
- 行動パターンや文字
- 人と建物の領域
住宅においては、暗い場所やこれまでのパターンと照合できる点から、セキュリティをこれまで以上に高めることもできるでしょう。
主な種類は2つ
AI カメラの主な種類は以下の2つです。
- クラウド型-撮影されたデータをクラウド上で保存、解析する。取り込まれたデータに対してクラウド上で処理を行うため、利用者が映像解析用のデータを持つ必要がない。また、設置場所に迷うことがなく取り付けやすい。 ネットワークでつなぐことで、街区のセキュリティを高めるエリアマネジメントもしやすくなる
- エッジ型-AIを搭載しており、カメラ内部でアルゴリズムに従った処理をおこなう。必要なデータのみをサーバーに共有できる仕組みも採用できるため、迅速な検知が可能な点がクラウド型との違い。また、内部で処理するため、プライバシーに関するデータ流出のリスクを低減できる
ネットワークカメラとは何が違うのか
クラウド型のAIカメラは、ネットワークカメラと同様にクラウド上にデータを格納します。しかし、以下のような違いがあるため、知っておきましょう。
- クラウド型のAIカメラは、AI が内容を判断するため、異常を検知した場合には規定されたアラートや通知を自動的に行える。欲しいデータの抽出・分析も可能
- ネットワークカメラの場合はあくまでも 映像を記録するためのものであり 内容の判別は人間が行わなければならない。また、AI カメラで検知できる顔やオブジェクト、パターンなどといった検知も自動的にはできない
AIカメラを導入する際のポイント
事業者として、AIカメラを導入する場合は次のようなポイントを意識しましょう。
- 設置場所
- 費用
- 機能
たとえば、認証速度や防塵・防水、どのくらいのスピードで導入可能で、どのような流れで通知やアラートが発生し人が駆けつけるのかまで解説できれば、住宅を購入・借り入れる顧客に対しても信頼度を高められます。
AIカメラは住宅業界に普及するか?
ここからは、AI カメラが住宅業界に普及するか見解を述べていきます。現状では、AI搭載カメラは、これまでのネットワークカメラよりも運用・導入が高額となりやすい点がネックといえるでしょう。
ただし、既存のカメラ技術とAIカメラを複合するといった製品も現れ始めていることから、コストダウンとより高度な分析・検知が可能となっていく可能性があります。
精度の高い検知ができるため防犯性能が向上する
AI カメラは、従来のカメラと比較しても自動的に分析・検知ができるため、防犯性能を高められるといえます。玄関やエントランス部分など、必要な部分に取り付けることで、人物データの蓄積・分析が進むことから、人間よりもよりスピーディーに対応できるでしょう。
また、24時間365日稼働し続けることができるため、時期やエリアの変化もふまえたセキュリティレベルの向上が期待できます。
エリアマネジメントにつなげられる
実例はまだ少ないものの、AIカメラによる住居エリアも含めたエリアマネジメントも可能です。今後、住宅業界でも進んでいくと想定される公・民・学連携によるスマートシティ・スマートホームでは、人による防犯や見守りよりもAIを活用することが前提となります。
仮に、街中にAI カメラを設置し、住宅に設置されているカメラとデータ連携できれば、エリアのセキュリティを向上させることが可能です。加えて、セキュリティだけでなく、災害や事故といった情報も把握できるため、人々が被害に合う可能性も低減できる可能性もあるといえるでしょう。
プライバシー保護には課題が残る
プライバシーの保護という意味では、AI カメラには課題があります。たとえば、室内の様子などを撮影・解析する場合はプライバシー侵害に該当する要素が多く、肖像権の問題もクリアする必要があります。
ただし、今後はAI カメラが普及する流れとなった場合には、モザイク処理や不要な映像を認識しないといった仕組みができていく可能性が高いといえるでしょう。
まとめ
AIカメラは、近年導入され始めたカメラ機器です。AIによって、撮影した映像・画像データの自動的な分析が可能であることに加え、人間の目による監視が不要となります。そのため、監視業務の作業効率向上やセキュリティ向上に役立つといえるでしょう。
今後、戸建て住宅や集合住宅も含めて、よりAIカメラを起点としたセキュリティ体制を構築していく可能性が高いと想定されます。そのため、現状のAIカメラの運用方法を知ったうえで住宅業界でAIカメラがどのように扱われるのかについて、注目していきましょう。