住宅業界で広がる顔認証。概要から今後のニーズを解説

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顔認証は、企業の入退室管理やスマートフォンの認証などで、よく使用されている技術の1つです。何かにふれることなく、認証が完了する点に加え、個人を顔の位置や形で判別するため、セキュリティ面が向上する点はメリットだといえます。

そして、最近では、住宅の玄関に顔認証を実装する企業も増加傾向にあります。本記事では、顔認証の概要から今後想定されるニーズについてみていきましょう。

「トレンドワード:顔認証」

顔認証とは、顔の位置や形を特定して、個人を判別する認証方式です。顔認証は次のような流れで使用されるケースが多い点も知っておきましょう。

  1. 顔の検出(目、鼻、口を基点とする)
  2. 識別(データ変換)
  3. システムへ送信
  4. 認証(プラットフォームやデータベース内の記録と照合する)

この手順は1秒未満で行われることから、スピーディーな認証ができる点は大きなメリットだといえるでしょう。また、顔認証は住宅業界では次のように活用されています。

  • 玄関ドアの開閉
  • エントランスの開錠
  • 宅配ボックスの受け取り

ドアの開閉に関しては、手で操作する必要がなくなるため、鍵の紛失を気にする必要がありません。また、知人を自宅に招く場合には、アプリの登録を行う必要はあるものの、一次的なキーの付与も可能であるため、セキュリティも高められるでしょう。

顔認証の種類と運用方法

ここでは顔認証の種類と運用方式についてみていきましょう。住宅に付随させる場合、常にインターネットの接続が必要となるものや導入コストが高額となるものもあるため、特徴をよく知る必要があります。

顔認証の種類

顔認証の種類は大きく分けて、2Dか3Dのどちらかになります。2Dは、画像から顔のパーツの位置関係を認識し、データベース登録してあるデータと照合する仕組みです。髪型・化粧など精度に差があるケースもあるため、導入する場合は評判やどの程度までの変化であれば、認識できるのかを判断する必要があります。 

対して、3Dは画像に加えて、赤外線で顔を立体データとして認識する仕組みです。位置だけでなく、立体感も含めて判断するため、精度の高い顔認識に期待できます。ただし、端末の値段が高い点は知っておきましょう。

顔認証の運用方式

顔認証の運用方式は大きく分けて、エッジ式とクラウド式に分けられます。それぞれの特徴は以下のとおりです。

  • エッジ式はリアルタイムで認証を行えるため、顔認証の速度が速い。外部データベースに対して、データを参照する場合であってもスピードは早く、運用コストは安価。しかし、設置コストが高い。
  • クラウド式は専用端末が不要であり、スマホのカメラからでも認証が行える。また、システム管理に必要がないため、導入コストは安い。 ただし 運用コストが高くなりやすい点と ネットワーク接続が消えるような障害が起きた場合、注意が必要。 

住宅やマンションに設置する場合は、実際に使用する居住者の年齢層なども考慮したうえで実装しましょう。 

顔認証は住宅業界で広がると想定される理由

顔認証の採用は、戸建て住宅の玄関やマンションにおけるエントランスの開閉、エレベーターでの移動で既に取り組みが始まっています。ここでは、そういった事例をふまえて顔認証が広がっていくと想定される理由についてみていきましょう。 

ライフスタイルとして求められている

顔認証を実装できれば、鍵の置き忘れ及び紛失、不在時の荷物受け取りなども含めて生活の利便性を向上させることが可能です。たとえば、宅配ボックスの利用では、指定した時間帯に一次的な顔認証のキー付与で利用できるようにしておけば、 再配達の手間は発生しなくなります。 

セキュリティ向上の効果を見込める

顔認証は、本人や許可された人物でなければ、住宅に入ることができません。マンションでは、許可されない限り、エントランスに入ることも不可能となるでしょう。部屋の入退室・住宅の玄関においては次のようなメリットも発生します。

  • パスワードを記憶する必要がなく漏えいの心配はない
  • 接触を極力避けられ、アプリで誰が入室したのかを確かめられる
  • ログイン及びシステム登録の必要があるため、訪問者がいつきたのかも確かめられる

今後は共用施設の利用のタイミングにおける利用料の支払い、EV車の充電の支払いなども顔認証で行える可能性があります。 

AI・技術の発展が今後も見込める

顔認証システムの一部には、AIが使われています。学習を繰り返すことによって精度の向上が見込めたり、今後使い勝手がより向上していったりする可能性が高いといえるでしょう。住宅分野においては、監視カメラやセキュリティサービスとの連携、ウォーターサーバーの置き配などにも活用できると想定されます。

顔のデータは個人情報となるため、扱う場合は本人の許諾やデータ利用の範囲を示す必要がある点も知っておきましょう。また、顔のデータに関連して、個人のライフスタイルによる認証も現在は実験段階であるため、今後データを連携できる仕組みが創られることに期待できます。

住宅で顔認証を利用した事例

住宅で顔認証を利用した事例には、次のようなものがあります。実際、導入する場合には、入居すると想定される年齢層に合わせる点に注意しましょう。

  • エントランスや玄関ドアの解除 
  • 宅配ボックスの認証
  • エレベータの移動

顔認証のみで、建物内の移動や認証が完了する仕組みができ上がりつつある状況です。迅速に認証が完了するため、ストレスを軽減でき、顧客体験の向上につなげられます。

また、顔認証はシステム管理者ではなく、アプリから登録・削除できるため、子供の身を守るといった防犯にも役立っているといえるでしょう。事業者としても、鍵交換や修理の費用が発生することがなくなる点はメリットです。

まとめ

住宅業界においても顔認証を採用する企業や建物が増加傾向にあります。人々のライフスタイルの変化に合わせ、キーレスでの玄関の開閉などのニーズが高まっていることから、顔認証による利便性の向上に期待できます。

今後、より多くの住宅に顔認証が採用されていく可能性が高いため、事業者として顔認証がどのように採用されていくのか注目しておきましょう。