EVを購入費を含んだ住宅ローンとは?今後の展望を解説
最近、住宅業界では「EVの購入費用を含んだ住宅ローンを組める」金融商品が注目を浴びつつあります。住宅購入者の中でも、EVを検討する人々が増加しつつあり、ニーズが高まっているといえるでしょう。
政府としてもカーボンニュートラルや脱炭素といった要素をふまえて、環境に配慮した住宅作りを推進していく姿勢をみせています。本記事では、EVが求められる理由や住宅ローンとの相性、今後業界として広がっていくのかといった点についてみていきましょう。
目次
トレンドワード「EV 住宅ローン」
EVの購入費用を住宅ローンに含む金融商品は、EVの購入費用だけでなく、必要な設備であるV2Hを自宅に導入できる点がメリットといえます。EVの特徴は以下のとおりです。
- 電気のみで走行できる(500km程度)
- 二酸化炭素を排出しない
- ランニングコストが安価(住宅で充電できる点も含め)
また、EVと住宅ローンはそれぞれ長期的に使用することが前提と想定されるため、住宅購入を検討する層のニーズにも合っていると想定されます。
今後、自動車業界で進めていくガソリン車ゼロ宣言や住宅業界で義務化となるZEH水準なども含めてニーズが高まっている状況です。
EVが求められる理由
https://www.enecho.meti.go.jp/about/special/johoteikyo/xev_2022now.html
EVは、電気をエネルギーとして走行する車です。そのため、温室効果ガスの排出がなく、電気を溜め込んでおけることから、非常用の電源としても役立てることが可能です。また、政府が2030年までにはガソリン車をゼロにすると表明していることから今後はより普及していくと予想されます。
ここでは、EVが求められる理由について詳しくみていきましょう。
カーボンニュートラルにつながる
日本では、2050年までにカーボンニュートラルの実現を行おうとしています。カーボンニュートラルは、「温室効果の排出量と吸収量をトータルでゼロにする」という考え方であり、日本の二酸化炭素の排出の17.7%を占める、自動車業界も温室効果ガスを減少させる取り組みを行わなければなりません。
そのうえで、EVを購入・活用することでカーボンニュートラルにつなげられます。EVの電気を充電できる仕組みを持つ住宅も増加しつつある点もふまえて、エネルギー消費量の管理もより実践しやすくなるでしょう。
ZEHの増加が今後想定される
ZEHは、エネルギー消費量を0に抑える住宅を意味します。ZEHには、断熱性や省エネなどといった基準をクリアしつつ、太陽光発電システムによってエネルギーを作り、生み出す仕組みがあります。
EVで使用される電気は、ZEHが持つ太陽光発電システムによって、作ることが可能となるため、EVと住宅の親和性は向上しつつあるといえるでしょう。
EV購入費用を含む住宅ローンは今後増加する?
ここでは、EV購入費用を含む住宅ローンの今後の想定についてみていきましょう。環境面のみに着目しても、自動車業界と住宅業界には次のような目標や義務が課せられています。
・2050年のカーボンニュートラル宣言(自動車・住宅業界)
・2030年のガソリン車ゼロ表明(自動車業界)
・2025年4月施行の建築省エネ法義務化(住宅業界)
・2030年のZEH基準義務化
とくに住宅のエネルギー消費量に関しては、HEMSなどで管理するニーズが業界として高まっている状況です。また、EVのバッテリー寿命が8年から走行距離16万キロとなっている点から、長期的な使用が可能な点も住宅と相性がよいといえます。
そういった点もふまえて、次の3つの理由からEV購入費用を含む住宅ローンは今後増加すると想定されます。
生活基準としてエネルギー消費量を抑える必要がある
2050年までのカーボンニュートラルを実現するためには、生活基準としてエネルギー消費量を抑えなければなりません。効率的にエネルギーを変換・生成するシステムも踏まえた上で EVやZEHを活用していく必要があります。
たとえば、住宅が十分な電気エネルギーを生産・提供できる場合は、EVの課題である電気の補充場所に困らなくなるでしょう。EVの航続距離に関しては、1度の充電で500km程度までは走行できるため、ガソリン車と大きく違う使い方にはならないと想定されます。
ZEH水準義務化で注目が集まっている
政府は、2030年までには以下のようなZEH水準を義務化する方針を示しています。
- 断熱等性能等級5(UA値0.40から0.60)
- 一次エネルギー消費量等級6(設計一次エネルギーから20%削減)
建築省エネ法によってエネルギー消費の性能や断熱性能を表示する必要もあることから、自宅でどのぐらいのエネルギーを消費しているのか、消費者からの注目が高まっている状況です。そのため、住宅と合わせて、改めて環境を見直す消費も増加傾向だといえるでしょう。
太陽光発電システムを前提とした生活サイクルが可能となる
今後、日本で提供されていく住宅は省エネを実現しつつ、再生エネルギーを出来る限り活用する方向性を示しています。 そのため、EVの使用を前提とした住宅作りも進められていくと想定されるでしょう。
また、災害の増加によって、住宅の「生活継続力」も評価の対象となっています。災害が起きた際にライフラインが切断されても、一定の期間、継続して生活できる環境を持つ住宅が求められており、EVであれば電気を供給することも可能です。
まとめ
EVの購入費用を住宅ローンに含む金融商品は今後も増加していくと想定されます。理由としては、政府が目標とするカーボンニュートラルの実現を行うためにも、ガソリン車からEVへ切り替えを進める必要があるためです。
そして、住宅業界においても建築省エネ法の義務化、ZEH水準の義務化などが将来的に実施されます。そのため、これまで以上にエネルギーの可視化・使用・省エネを意識した住宅作りが求められている状況です。
今後、EVの購入費用を住宅ローンに含む金融商品がどの程度まで住宅業界に広まるのか注目していきましょう。