マンションのスマート化とは?関連技術と可能性を解説

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DXという言葉が世の中に浸透し、様々な分野でデジタル技術による革新が期待されています。住宅業界でもDXに取り組む企業は増加しつつあり、マンションではスマート化に取り組む企業も増加傾向にあります。今回は、マンションのスマート化が意味する言葉についてみていきましょう。

「マンション スマート化」とは

マンションのスマート化とは、マンションに関する設備にデジタル・IoTを取り入れることを意味します。スマート化を実現することによって以下のようなメリットが想定されます。

  • 生体認証や虹彩認証による高度なセキュリティの実現(スマートロックの種類による)
  • 自動証明、家電のリモート操作(外出先からの家電操作による利便性向上、エネルギー消費の削減)
  • スムーズなコミュニケーションの実現と管理

住む側だけでなく、管理者にも メリットがあり、これまで以上のサービスの提供や負荷の軽減などが可能です。とくに、共用スペースの管理や設備の故障などであれば、報告や相談とデータを照らし合わせられるため、より把握しやすくなります。 

海外では市場拡大が見込まれている

https://lab.roomclip.jp/contents/smarthome/

日本の会社が海外において、スマートマンションを施工しているケースは増加傾向にあります。また、日本で導入されるスマートマンションの設備のほとんどは、海外で普及しているものであることから、スマート家電だけを比較しても日本の普及率とは数倍以上の開きがあるのが実状です。

RoomClipとLIVING TECH協会が共同で発表したレポートでは、日本のスマート家電保有率は13%、アメリカでは81%となっています。住環境の差はあるものの、メーカーごとにアプリや規格が異なる点が最大のネックだと想定されるでしょう。

また、アメリカでは市場規模も拡大傾向であり、株式会社グローバルインフォメーション社の調査では2030年までに1,085億ドルまでに達すると予測されています。今後は日本に関してもより拡大していく可能性が高く、スマートマンションも増加するといえるでしょう。

マンションスマート化で活用されている技術

ここでは、マンションスマート化で活用されている技術についてみていきましょう。とくにスマートロックやカメラなどを用意する場合は、互換性・費用対効果などを重視し、取り組める範囲から実践していくことが大切です。

IoT

設備としてIoTを活用できれば、住人が遠隔操作可能となるだけでなく、管理側も遠隔操作やデータ収集が可能となるため、管理が楽になります。たとえば、立ち合いや施錠、設備管理なども効率化できるでしょう。

スマートロック

スマホや暗証番号、カードキーなどを利用したうえで玄関部分のセキュリティを向上させることが可能です。物理的な破壊を防げるだけでなく、管理側としても異常の発生の検知も行いやすくなります。

ネットワークカメラ

共用部分や室内に設置することによって、セキュリティの向上が期待できます。たとえば、次のような使い方も可能です。

  • 管理側では共用スペースやエントランスへの設置、各部屋では住人が管理する
  • 防犯センサーと連携しセキュリティを向上させる

また、管理する場合、通常の監視カメラよりも鮮明である点やクラウドにも保存できる点もメリットといえるでしょう。

MEMS

MEMS(マンションエネルギー管理システム)とは、マンション全体で使用するエネルギーの流れを可視化するシステムです。電気機器のコントロールもできるため、非常時の電源の切り替えや無駄な電気使用料を抑えられるといったメリットが生まれます。

加えて、太陽光発電の発電量の把握や水道量なども管理できるため、効率的なエネルギー管理には必須のシステムだといえるでしょう。 

生体認証

スマートフォンによる指紋・顔認証と同様に生体認証を活用できます。たとえば、人間の虹彩で認証を行う虹彩認証を採用すれば、セキュリティの向上につながり、異常を検知した場合も対処しやすくなるでしょう。

今後マンションのスマート化は進む?

ここでは、マンションのスマート化について今後予想される変化をみていきましょう。現状では、スマート家電の普及率の低さもふまえて、マンションのスマート化のニーズは高くないと判断されます。

しかし、既に技術が多数あり、規格が統一された際にはより普及が進むと予想されます。

対応できる機器・設備数の増加に期待できる

現状では、対応できる機器・設備数が限られており、コントロールできるアプリも限られたものが多くなっているといえるでしょう。しかし、照明やエアコンなど連携できる規格の開発が進んだ場合、日本でもマンションのスマート化が進む可能性があります。

また、政府が推進する2050年までのカーボンニュートラルには、エネルギーの可視化が役立ちます。そのため、機器や設備についても今後IoTに対応できる機器が増加すると想定されるでしょう。

認知の拡大によって進む可能性が高い

スマート家電については、「聞いたことがある」程度であれば、認知度は高い状況にあります。しかし、価格や何によってコントロールするのか(アプリ名やサービス)までは、知らないケースも多く、事業者もスマートマンションを建築する場合には、それぞれ何によってコントロールできるのか把握しなければなりません。

そのうえで、今後市場にリリースされる各社の製品・サービスが多くの人々に把握された場合、爆発的に普及が進む可能性があるといえます。現状では、課題はあるものの、時間の経過や知識の浸透、各社の発信によって、課題がクリアされる可能性が高いでしょう。

まとめ

マンションスマート化は、日本では現状ではニーズが高くないと判断できるものの、技術は十分にあるという状態にあります。そのため、サービスや商品の認知拡大によって、市場規模が拡大する可能性が高いといえるでしょう。

また、カーボンニュートラルの観点からマンションのエネルギーを管理するMEMSの活用も増加すると想定されます。スマートマンションにおける、スマート家電も含めた暮らしやすさや利便性に対する人々のニーズに、今後も注視していきましょう。