CADとCAMの違い|メリットや主要ソフト

掲載日:
Category:

トレンドワード:CAD・CAM

「CAD・CAM」についてピックアップします。両者の主な違いやメリット、主要ソフトについてまとめています。また類似ツールであるCAE、BIMについてもご紹介しているので、適切なツール選びにお役立てください。

CADとは|設計向き

CAD(キャド)とは「コンピュータ支援設計(Computer Aided Design)」のことを指します。コンピュータを使用して設計や図面を作成する技術やプロセス全般を、CADと呼ぶことが多いです。CADは、建築製造業、機械設計、電気設計、土木工学などの分野で広く活用されています。

CADを用いることで、手作業に比べて迅速かつ正確な図面の作成が可能になります。さらに、設計の変更や修正も容易に行うことができるため、効率的な設計作業が可能です。また3Dモデリングを用いることで立体的な設計を行い、視覚的に表現できます。

CADのメリット

CADの主なメリットとしては、下記が挙げられます。

  • 業務効率化になる
  • データ管理が簡単

CADのメリットの一つとして、「業務効率化になる」という点があります。CADはコンピュータを使用して設計や図面作成を行うツールであり、手書きや従来の製図方法と比べて正確でスピーディーな業務が可能になるでしょう。

またCADを使用すると、データ管理が簡単になります。デジタルデータとして保存されるため、バックアップが容易です。重要な設計データや図面を定期的に保存することで、データの損失を防ぐことができます。

データ管理の簡単さは、CADを使用する上での重要な利点の一つです。特に大規模なプロジェクトや複数の担当者が関与する場合、効率的なデータ管理がプロジェクトの成功に欠かせない要素となります。

主なCADソフト|AutoCAD

AutoCAD(オートキャド)は、Autodesk社が開発する2D・3D CADソフトです。1982年に発売されてから、建築だけでなく土木・機械など多くの分野で汎用CADとして利用されています。

世界的にシェアが高く、ユーザー数が多いのが特徴です。データを変換せずにやり取りができるため、業務がスムーズに進みます。

またアドオンソフトが充実しており、使い方に応じて適宜機能を付加できます。作図、ドキュメント作成、モデリング、ビジュアライゼーション、自動化されたワークフロー、API などに対応しています。

CAMとは|製造向き

CAM(キャム)とは「Computer Aided Manufacturing」の略で、直訳すると「コンピュータ支援による製造」という意味です。CADが建築・設計分野で使われるのに対して、CAMは主に製造業で活用されるという違いがあります。

CAMでは、CNC加工機を駆動して物理的なパーツを製造します。一般的にはまずCADで図面を作成してから、CAMに出力して高い精度での製造・加工がおこなわれます。

CAMのメリット

  • 設計速度の向上
  • 品質のクオリティが上がる

CAMは金型設計などの業務がデジタル化できるので、生産性が大幅に向上します。人の手で行うよりも誤差やミスが少なくなり、時間が短縮できるのもメリットです。事前にシミュレーションすることもできるため、完成品の品質も向上します。

主なCAMソフト|Autodesk Fusion 360

「Autodesk Fusion 360」は、CAD・CAM統合ソフトウェアです。CNC 加工用のコンピューター支援製造(CAM)ワークフローを自動化できます。3D CAD・レンダリング・解析・2次元図面といった機能が搭載されており、多種多様な分野のパーツ設計に使えます。

高機能でありながら、手頃な価格で利用できます。また工具ライブラリ、ポストプロセッサ、カスタム設定などの共有が可能なので、チームでの連携作業にも向いています。

他にもある設計ツール|特徴を紹介

ここでは、CAD・CAM以外のツールについてご紹介します。

CAE

CAE(シーエーイー)は「Computer Aided Engineering」の略で、直訳すると「コンピュータ支援によるエンジニアリング」という意味です。機能としては、デジタル空間での試験解析を行うためのツールとなっています。

CADやCAMで設計したプログラムを、CAE上で熱や温度条件を変えながらシミュレーションします。これにより、製品の開発・試作段階での品質向上が可能となりました。

BIM

BIM(ビム)は、3D CADと同様に「建築図面や3Dモデルの作成、デザイン、ドキュメント作成」といった業務を行えます。一見どちらも同じように見えるため、「3D CADとBIMは何が違うの?」と思われるかもしれません。

3D CADとBIMの大きな違いは、下記が挙げられます。

  • 作成手順
  • 使用する範囲

まず3D CADは「2Dから3D」という順番で作成します。しかしBIMの場合「初めから3D」で作成するという違いがあるのです。3Dとして作成することで平面図・立面図・断面図・屋根伏図…といった図面も同時に生成できるため、大幅な業務効率化に繋がります。

そして3D CADは主に設計段階で使われるのに対して、BIMは「設計・施工・維持管理」などライフサイクル全体に渡って使用されるという点も異なります。

BIMには建物の造形としての情報だけでなく「建材や設備、価格、メンテナンス周期」などあらゆる情報が付加できます。設計者、エンジニア、施工者などの異なる関係者が情報共有しやすくなり、スムーズな連携も可能です。

まとめ|CAD・CAMを使い分けよう

建築業界ではCADでの設計が一般的ですが、他の業種ではCAMやCAEといったツールも広く使われています。デジタル空間上で設計やシミュレーションができることで、業務効率化に繋がるでしょう。特にBIMはライフサイクル全体の効率化が期待できるため、さらなる活用が求められています。