新設住宅着工戸数の推移が減少中!減り続ける理由・今後の見通しとは?【2024年最新】
国土交通省が公開している「住宅経済関連データ」によると、新設住宅着工戸数が減少を続けているようです。
本記事では、新設住宅着工戸数の推移から「減少傾向」「今後の見通し」を深掘りしたのち、企業が実施できる2つの対策を解説します。
目次
新設住宅着工戸数が減少中!
国土交通省が毎年公開している「新設住宅着工戸数の調査データ」によると、2023年の着工戸数は約82万戸で、2022年の約86戸を下回る結果となりました。
また2023年と2022年の着工戸数を持家・貸家に分けて整理してみたところ、徐々に持家よりも貸家のニーズが高まってきていることがわかります。
2022年 | 2023年 | |
持家 | 約51万 | 約36万(前年△15万) |
貸家 | 約35万 | 約46万(前年+11万) |
出典:国土交通省「住宅着工統計」
新設住宅着工戸数の推移グラフから見る減少の傾向
出典:国土交通省「住宅経済関連データ」
新設住宅着工戸数について古いデータを含めて分析すると、平成18年(2006年)をピークに減少が続いている状況です。
2006年の新設住宅着工戸数は約129万戸であるため、2023年の約82万戸と比較した場合、ピーク時の2/3まで数値が落ち込んでいることがわかります。
新設住宅着工戸数が減少し続ける理由とは?
新設住宅着工戸数が20年近く減少を続けることには、2つの理由が関係します。なぜ新設住宅が建築されにくくなったのか、具体的な要因を整理しました。
建築材料が高騰している
出典:国土交通省「主要建設資材需給・価格動向調査結果」
新設住宅着工戸数の減少は、建築材料費の高騰が影響すると考えられています。例えば次の理由で建築材料費の値段が上がり、費用面の問題で新築物件を建てにくくなりました。
- 新型コロナウイルスのまん延に伴う貿易の停滞
- ロシア・ウクライナ戦争による材料不足
- 米中間の貿易摩擦
2024年現在は建築材料費の値段が落ち着いきましたが、2023年以前は木材の値段が1.2~1.3倍程度に膨らんでいたため、住宅建築を先延ばしにする人が増加したのではないかと推定できます。
円安や税金の増額の影響を受けて家計が苦しくなっている
出典:財務省「税収に関する資料」
新設住宅着工戸数が減少しているのは、日本円の価値が下がる「円安」であること、そして増税による国民負担が増えていることが関係すると予想されています。
商品・サービスの値段が上がり、日常生活で消費するお金が増えた結果、住宅新設のお金を確保できにくくなりました。あわせて消費税増税や社会保険料の増加により、国民ひとり当たりの税負担が5割近くになるなど「生活・納税>住まい」という優先順位ができたのではないかと考えられます。
新設住宅着工戸数における今後の見通し
2024年現在、建築材料費の高騰が収まってきたこともあり、今後は新設住宅の建築費用が従来通りに改善すると予想されます。しかし「円安」「増税」の問題が残っていることに注意が必要です。この2つの問題が解決しない限り、新設住宅着工戸数の低迷が継続するかもしれません。
また新設住宅着工戸数の減少により、不動産業界の競争が激化するおそれがあります。従来通りの営業スタイルでは顧客が減少し続けるため、マーケティングや生産性向上に力を入れ、競合他社よりも優位に立つことが重要になるでしょう。
新設住宅着工戸数の減少において企業ができる対策とは?
新設住宅着工戸数が減少し続ける状況において、企業が生き残るためには「事業の多角化」「企業のDX化」に取り組むことが重要です。具体的な対策内容や例を解説します。
事業の多角化
顧客が減り続ける状況を改善・回避したいなら、事業の多角化に取り組むことが重要です。新サービスへの投資や市場開拓を実施することで、新規顧客を獲得しやすくなります。
また事業の多角化には、収益の増加だけでなく、経営リスクの分散効果を期待できます。莫大な投資コストがかかるため、ゼロベースで動き出すのではなく、既存の知識・ノウハウを活かせる市場といった「成果を挙げやすい分野」へ多角化するのが良いでしょう。
企業のDX化
現在提供しているサービスを効率化して新規顧客を取り込みたいなら、企業のDX化(デジタル・トランスフォーメーション)に取り組むのもひとつの手です。例えば、次のような手段でDXを始められます。
- アナログ管理からデジタル管理へ移行する
- ノウハウ・顧客情報といったビッグデータを分析する
- BIM/CIMを活用して設計作業を効率化する
不動産業界の場合、営業・設計・マーケティングなど、複数の分野でDX化が可能です。「時間のかかる作業」「判断が難しいポイント」などをDX化し、生産性向上を目指してみてはいかがでしょうか。
まとめ
新設住宅着工戸数は、材料費の高騰や円安・増税の影響を受け、2024年も減少し続けている状況です。そのため今後の不動産業界では、新規顧客が減ることに伴う顧客の奪い合いが激化するおそれがあります。
競合他社より新規顧客を獲得しやすい環境を整えたいなら、事業の多角化やDX化に力を入れましょう。市場開拓や生産性向上の実現により、経営を安定しやすくなります。