住宅業界におけるVR内覧の現状を解説。今後の展望とは?
VR内覧とは、仮想現実の技術を使って建物の内部を見学する仕組みです。VR内覧を利用した場合、スマホやパソコンなどのデバイスを使用するため、現地に行かずに物件の内部を体感できます。近年では、不動産業界だけでなく、住宅業界でも使用されるようになってきました。
本記事では、住宅業界におけるVR内覧の現状や今後の展望について解説します。
目次
トレンドワード:VR内覧
VR内覧とは、仮想現実(Virtual Reality)の技術を用いて、建物の内部を見学できる仕組みです。スマートフォンやパソコンなどのデバイスを使い、オンラインで物件の中を確認できます。顧客は、自宅など好きな場所にいながらデバイス越しに「リアルな内覧」を体験できまる点が特徴です。
よく使用されのは、360度撮影できるカメラを使い、疑似的に3D空間を表現する手法です。ただし、これは実際に完成している建物にしか利用できません。未完成物件に対しては、3DCGリアルタイム描画を行い、具体的なイメージを持ってもらうといった使い方が主流となっています。
VRの普及率は高くない
「LINEリサーチ」の調査によれば、VRの知名度は高く、90%の人が認知しているという結果でした。しかし、実際に利用している人はわずか5%と少数であり、普及率は低いことが分かります。VRはスマホやパソコンで体験することも可能であるものの、視聴のためにVRゴーグルなどの専用機械が必要となるケースもあるためです。
ただし、住宅のVR内覧については現段階で既に、様々な会社から専用のサービスが提供されています。専用サービスを使えば、自社開発と比較して低予算でスムーズにVRを導入できるでしょう。
出典:「LINEリサーチ」
VR市場は拡大傾向にある
VR市場は世界的に見ても年々拡大の傾向にあります。デバイス性能の向上や技術の進歩、オンラインコミュニケーションの浸透により、加速度的に発展していくと期待されている市場です。住宅業界においても、多くの企業がVRの導入を行っています。既に、VR内覧によるマンションの成約実績は多数出ており、今後もこの流れは加速していくでしょう。
VR内覧のメリット
VR内覧を導入すると、顧客・不動産会社共に様々なメリットが生じます。詳しくみていきましょう。
予算や希望条件の確認ができる
VR内覧は移動の手間をかけずに物件を見学できるサービスです。そのため、実際に移動して一軒ずつ見て回る通常の内覧と比較した場合、一度に多くの物件を見学できます。
多くの物件をリアルに体験することで、予算や希望条件、それにあった物件のイメージを把握しやすくなるのがメリットです。また、多くのVR内覧ツールでは予算に応じた内装オプションやレイアウト変更の仮想体験を実装しています。そのため、顧客は自分の予算内での可能なカスタマイズを確認できるようになるでしょう。
イメージ共有がしやすくなる
顧客に用語や見方を解説した場合でも、平面図や写真、設計図のみで具体的なイメージを描くのは困難です。しかし、VR内覧では、三次元で視覚化できるため、以下のようにより具体的なイメージを把握できます。
- 部屋を歩き回る
- 異なる視点から部屋を眺める
- 360度、どこでも好きな場所を見渡せる
加えて、簡単に壁や床の色の変更や家具の配置などを行えるものがあります。担当者は顧客の希望に合わせた変更案を即座に提示、共有することが可能です。そのため、実際に物件を引き渡した後で、「イメージと違う」と顧客から言われる可能性を軽減できる点はメリットといえるでしょう。
顧客が移動する手間がなくなる
これまでの内覧では顧客だけでなく、担当者も含めて、マンションや住宅、モデルルームなどに実際に足を運ばなくてはならないケースが多かったといえます。しかし、VR内覧を導入した場合は、顧客も担当者も物理的に現地に移動することなく、建物の内部を確認可能です。
移動の手間がなくなることで、業務の効率化やコスト削減につながるため、住宅・不動産会社にも大きなメリットがあるといえるでしょう。業務不可の軽減にもつながります。
今後さらにVR内覧は広がる可能性が高い
VR内覧は不動産会社にとっても、多くのメリットがあるシステムです。たとえば、不動産会社にとっては効率化による人件費の削減や成約率の向上などが期待できます。顧客は実際に現地に足を運ぶ必要がなくなるため、従来よりも幅広いエリアやニーズを満たしやすくなる点はメリットといえます。
そうしたメリットもふまえたうえで、ここではVR内覧の浸透が高まると考えられる2つの根拠をみていきましょう。
多様的なライフスタイルに合わせやすい
従来型の現地に足を運ぶ内覧の場合では、半日程度時間を拘束されるケースも少なくありません。多忙な人や遠方に住む人たちの中には、参加しづらいと感じるケースもあったと想定されます。しかし、VR内覧を導入した場合、顧客は実際に現地に足を運ぶ必要なくなります。
そのため、様々な事情を抱える次のような顧客にもアプローチしやすくなるでしょう。
- 多忙で時間を取りづらい人
- 遠方に住んでいる人
- 乳幼児を連れていて気軽に現地に行きづらい人
- 介護中でなかなか家から離れられない人
VR内覧は多様なライフスタイルの顧客に対し、幅広く対応できる仕組みです。これまでよりも多くの顧客に対応できると売上の機会も増えるため、VR内覧は広がりをみせると想定されます。
使用できるツールの選択肢が今後増えていく
現時点でも、VR内覧用の様々なツールが提供されています。そのうえで、VR技術は急速に変化しており、高度な機能を持つ新しいツールの増加が見込まれている分野です。そのため、VR市場の成長に伴い、品質やユーザビリティの向上、価格の低下などが進んでいくでしょう。
価格が下がり技術が向上する可能性があるため、中小企業におけるVR内覧の導入ハードルは低下します。また、移動時間の軽減やイメージ確認の手軽さから担当者が少ない状況であっても対応しやすくなります。そのため、VR内覧はVR技術や市場の成長に伴い、今後も広がる可能性が高いといえるでしょう。
まとめ
VR内覧とはスマートフォンやパソコンなどのデバイスを使い、オンラインで物件の中を確認する内見方法です。360度、好きな角度から自由に物件の内部を確認できるため、リアルな内覧に近いイメージで物件の内部を確認できます。また、移動の手間が省けるため、企業・顧客どちらにもメリットがあります。
ただし、自社でVR内覧ツールを開発しようとする場合は、多くの初期費用が発生してしまいます。VR内覧の導入を検討する際は、専用ツールや価格帯なども含めてチェックしましょう。