次世代住宅プロジェクト2023とは|採択プロジェクトまとめ

掲載日:

著者:小日向

「トレンドワード」ではいま建設業界で注目のキーワードについて解説をしています。

▼その他の記事も下記よりご覧いただき、最新情報をキャッチアップください!▼

https://news.build-app.jp/?s=%E4%BD%8F%E5%AE%85DX

トレンドワード:次世代住宅プロジェクト2023

「次世代住宅プロジェクト2023」についてピックアップします。IoT技術を活用した住宅計画のニーズは高まっており、次々に新技術が開発されています。本記事では事業の概要や、第1回での採択プロジェクトの詳細についてご紹介します。

次世代住宅プロジェクトとは

次世代住宅プロジェクトとは、国土交通省が2017年度から進めている事業です。IoT技術等を活用した住宅等のリーディングプロジェクトを支援する目的で、採用プロジェクトに対して補助金の交付を行っています。

次世代住宅プロジェクト2023の概要

出典:国土交通省ウェブサイト(https://www.mlit.go.jp/report/press/house04_hh_001162.html

2023年度は、子育て世帯・高齢者世帯など幅広い世帯のニーズに応える住生活関連のビジネス市場を創出・拡大することを掲げています。主な事業要件は、下記3点となります。

  • IoT技術等を活用した住宅(IoT住宅)等であること
  • 令和5年度に事業着手するもの
  • 「IoT技術等を活用した次世代住宅懇談会とりまとめ」を踏まえたものであること

2023年度からは、「先導タイプ」と「市場化タイプ」の2事業が設定されています。主な特徴は、下表にまとめられます。

先導タイプ市場化タイプ
特徴先導的IoT住宅の実用化に向けた課題の検証を行う取組IoT住宅を市場供給に向けた検証を行う取組
補助率補助対象費用の1/2建設・取得費の1/10、改修工事費の2/3、効果検証費の2/3
補助限度額1プロジェクトあたり5億円1戸あたり50万円(省エネ性能がZEHレベルの場合は75万円)(1プロジェクト3年以内かつ100戸以内)

第1回の応募期間は令和5年5月16日(火)から6月23日(金)までで、9月15日に採択事業者が決定しました。また、9月28日には第2回の提案募集が開始されています(「先導タイプ」のみ)。

次世代住宅プロジェクト2023(第1回)の採択プロジェクト

ここでは、次世代住宅プロジェクト2023(第1回)の採択プロジェクトについて詳しくご紹介します。先導導タイプでは2事業者から5件、市場化タイプでは3事業者から3件の応募がありました。このうち合計4件が採択されています。

先導タイプ

①スマートホームアプリ|三菱地所

出典:国土交通省ウェブサイト(https://www.mlit.go.jp/report/press/house04_hh_001190.html

三菱地所では、スマートホームアプリによる各種家電一括管理先導事業に取り組みます。具体的には、各メーカーのIoT機器を「HOMETACT」というアプリで一括管理する技術を開発します。

現状では、エアコンやスマートキーといったIoT機器を操作するにはメーカー毎に別々のアプリを入れる必要があります。しかし「HOMETACT」では1つのアプリで管理できるため、利用者のハードルを下げ普及促進に繋がります。

市場化タイプ

②健康寿命延伸住宅|芙蓉ディベロップメント

出典:国土交通省ウェブサイト(https://www.mlit.go.jp/report/press/house04_hh_001190.html

芙蓉ディベロップメントでは、健康寿命延伸住宅の普及に取り組みます。超高齢社会では「長く健康に暮らせる高齢者住宅」が求められており、今回の事業では普及促進や利用者の声に基づく利便性向上、その効果の検証を行います。具体的には、下記3点の実証を行います。

  • ①居住者の血圧低下効果、及びバイタルスコアリングAIの精度検証
  • ②商品の使用感・コスト感に関する意識調査
  • ③供給側の理解度や普及に向けての課題

2023年度は、パナソニックビルダーズグループ(全国に400社)に対して「健康寿命延伸住宅」の販売促進の為、案内動画・案内資料を作成し営業活動を実施します。必要に応じて現地勉強会やWEB相談会を実施し、20棟の契約を目指す予定です。

③AI型全館空調とスマートホーム|ポラスマイホームプラザ

出典:国土交通省ウェブサイト(https://www.mlit.go.jp/report/press/house04_hh_001190.html)

ポラスマイホームプラザ は、AI型全館空調とスマートホームシステムによる住宅内の室温コントロールに取り組みます。具体的には、AI型全館空調(暖冷房)のパイオニアとして「AI型全館空調×IoT技術」の連携を行います。これにより居住者の新たな価値観を見出し、次世代に呼応するモデルケースとして普及促進を行います。

  • 【課題1】熱中症対策:スマートデバイスによる各種データを収集し、室内の温度環境が設定温度通りになっているか、設計要因、各機器の使い方の検証・分析を実施。
  • 【課題2】省エネ対策:スマートリモコン及び蓄熱暖房機等の併用により、24h暖冷房を行う全館空調よりも、暖冷房費を抑えながら温熱環境の満足度をどの位得られたか、実データの取得と共にアンケート調査を実施。

④IoTセンシングによる室内環境評価|リクルート

出典:国土交通省ウェブサイト(https://www.mlit.go.jp/report/press/house04_hh_001190.html)

リクルートは、IoTセンシングによる住宅の室内環境評価に取り組みます。IoTセンサによる実測に基づき、既存物件の温熱・音環境についての

定量評価を現実的なコストで得る手段を確立することが目的です。

具体的には、まず既存集合住宅の住宅供給業者に対して、実際に断熱・省エネ改修工事を行ってもらいます。そして、その前後でIoT計測を実施し、これによって改修効果を示す妥当性を検証します。また住民へのアンケート調査を実施し、IoT計測結果と居住者の実感との関連についても検証する予定です。

まとめ|次世代住宅プロジェクトに期待

IoT技術の開発は進んでいるものの、実際の住宅での導入事例はまだまだ少ないのが現状です。次世代住宅プロジェクトを通して、市場化の促進も期待されます。