2023電気代高騰はいつまで続く?負担軽減の方法も紹介

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著者:小日向

トレンドワード:電気代高騰

「電気代高騰」についてピックアップします。暖房を多く使う時期だからこそ値上げが家計にも影響を与えており、今後の値段の動向についても気になるところです。本記事では、電気代高騰の理由や負担軽減対策についてご紹介していきます。

電気代が高い!「月10万円」のケースも

最近「電気代が高くなった」という声が多く聞かれ、電気代高騰が社会問題化しています。中には「ひと月の電気代が10万円以上になった」というケースもあり、多くの家計が逼迫している状態です。

そんな中、電力会社は今後電気代を「さらに上げる見込み」で、東京電力では2023年6月から「平均29.31%の値上げ」を経済産業省に申請しました。ますます家計への影響は大きくなると見られ、適切な対応が求められています。

なぜ電気代が高騰?|主な理由を解説

ここでは、電気代の高騰が続く主な理由についてご紹介していきます。

①LNG価格の上昇

LNGとは「液化天然ガス」のことで、主に火力発電の燃料として使われます。石炭や石油と比較してCO2排出量が少なく、安定的に入手できる資源として活用されてきました。日本は世界屈指のLNG輸入国で、オーストラリア等からの輸入に頼っています。

そんな中、ロシア・ウクライナ問題でパイプラインガスの供給システムが崩れました。これによりLNGの「争奪戦」とも言うべき状況となり、世界的に価格が高騰しているのです。

②原発の稼働停止

2011年の東日本大震災をきっかけに、原子力発電所の稼働停止が続いています。しかしコスト面では、原子力発電が最も安いというのが現実です。原子力はLNGや石油よりも少ない原料で発電可能なので、輸入価格の変動による影響も比較的小さくなります。

実際に原発が再稼働している関西電力・九州電力では2023年の電気代値上げはしない方針で、他の地域よりも安い価格に抑えられています。ただし再稼働には反対の声も多く、慎重な議論が必要です。

③再エネ賦課金が値上げ

再エネ賦課金とは「再生可能エネルギー発電促進賦課金」のことを指します。これは、太陽光・風力など再生可能エネルギーを普及させるために、得られた電力を買い取る費用として賦課されています。

電気料金の一部としてすべての方が負担する形になり、負担額は電気使用量に比例します。再エネ賦課金は2016年頃から急激に上昇しており、3.45円/kWh(2023年1月時点)となっています。

政府が電気代の負担軽減を実施

電気代上昇の負担を少なくするため、政府では軽減策を講じています。

「電気・ガス価格激変緩和対策事業」で家計を補助

2022年10月に決定された「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」により、家庭や企業の負担軽減のために電気・ガスの負担軽減策が始まっています。

具体的には、2023年1月の使用分から下記の通り料金の値引きがされています。特に個人単位での申請手続きは不要で、小売事業者に対し、値引きの原資を支援する形式です。

【電気料金】

  • 【低圧契約(主に家庭)】値引き単価:7円/kWh
  • 【高圧契約(主に企業)】値引き単価:3.5円/kWh

【都市ガス料金】

  • 値引き単価:30円/㎥

2023年の電気代は10月以降に上がる?

上述の電気・ガス価格激変緩和対策事業は、「2023年9月までの限定措置」となっています。そのため10月以降の補助の予定はなく、電気代がまた値上がりする可能性もあります。

もちろん事業の継続や新規補助の設立も考えられますが、世界情勢を見てもエネルギー源の価格高止まり傾向は続くと見られています。

電気代高騰への対策

電気代高騰はしばらく続くと考えられ、できるだけ電気の使用を抑える工夫が求められています。ここでは、具体的な対策についてご紹介していきます。

再生可能エネルギーに切り替える

再生可能エネルギーとは、太陽光・地熱・風力といった自然の力を利用したエネルギーのことを指します。これらは資源を輸入しなくても発電可能なので、今回のようなLNG価格高騰が起こっても影響を受けにくいでしょう。

日本政府も「2030年度に再エネ比率36~38%達成」を目標に掲げており、クリーンエネルギーを中心とした社会システムの構造転換を検討しています。

また直近では、東京都が「2025年住宅太陽光パネル設置義務化」を発表し導入を促しています。制度の概要について詳しくは、下記記事をご覧ください。

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省エネ性の高い建物を選ぶ

家庭の電力消費のうち、全体の40.9%が「加熱・冷却機器」というデータがあります。部屋を快適な状態にするために冷暖房は必要ですが、建物の工夫によって使用頻度を抑えることは可能です。

たとえば断熱等級のグレードを上げて窓からの熱損失を防いだり、気密性を高めて保温効果を高めたりする方法があるでしょう。電気の使用量を抑えられる建物には「LCCM住宅」があり、今後普及が期待されています。

LCCM住宅について詳しくは、下記記事をご覧ください。

ZEHの次はこれ!「LCCM住宅」とは|ハウスメーカー事例紹介も

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まとめ|電気代高騰は建物で対策

ロシア・ウクライナ問題など多くの要素が重なり、最近電気代が急騰しています。政府では負担軽減策を行っていますが、これはいつまでも保証されているものではありません。今後は価格の激変に備え、再生可能エネルギーなど「自給自足」のエネルギー源の広がりが期待されます。