背景と目的

 建築・建設産業は、プロジェクトの低い利益率や低効率、労働力不足など様々な課題を抱えています。これらの課題解決にはデジタル化が欠かせないものの、世界的に見ても業界のデジタル化は全産業セグメントにおいて最低クラスです。こうした建築・建設業界において、デジタルトランスフォーメーション(DX)を推進すべく、国産初の建築建材総合検索プラットフォーム「Arch-LOG(アークログ)」を提供する企業として、総合商社の丸紅株式会社とBIM※1分野のプロフェッショナル企業である株式会社ログログが2019年6月に共同で設立したのが丸紅アークログです。創業からの2年間で「Arch-LOG」を全社的に活用していただくことを目的に締結したアライアンスは、スーパーゼネコン5社を含めたゼネコンや設計事務所、デベロッパーなどの大手各社が30社以上。また、主要上場建設会社56社の総売上高約13兆円のうち、アライアンスを提携して「Arch-LOG」をご活用いただいた上場企業の総売上高は約11兆円と約85%※2にも上り、業界内での「Arch-LOG」の普及が急速に進んでいます。

 当社として初回となる今回の第三者割当増資は、「Arch-LOG」を建築・建設業界を代表するデジタルデータインフラに成長させ、業界内の様々な課題を解決し、より発展させていくために、アライアンス締結企業でもある株式会社長谷工コーポレーション、ならびに前田建設工業株式会社を引受先として実施したものです。
 この増資により、引受先企業が推進するあらゆるプロジェクトでの建材選定が「Arch-LOG」を介して徹底的にデジタル化されるとともに、「Arch-LOG」への掲載建材も飛躍的に拡大していくことが期待されます。さらに、建築・建設産業からの要請を受けて、「Arch-LOG」のユーザビリティをより向上させるための既存システムのバージョンアップをはじめ、建築・建設産業のDXにつながる各種機能のアイディアの実現や、新機能開発などへの投資を促進してまいります。

 人口減少社会の中で斜陽産業とも言われる日本の建築・建設産業に関わる方々、ひいては世界で影響力を失いつつある日本の状況を打破したいと願い構築された「Arch-LOG」というプラットフォームに、第三者割当増資という形でご賛同いただいたことは当社として非常に心強く、このプラットフォームを建築・建設産業に関わる皆様にとって、より一層良いものにしていかなくてはならないとの想いを再認識しております。

※1「BIM(ビム)」:「Building Information Modeling」の略称。コンピューター上に作成した3次元の形状情報に加え、室等の名称・面積、材料・部材の仕様、性能、仕上げ等、建築物の属性情報を併せ持つ建物情報モデルを構築すること
※2帝国データバンク「2019年度 主要上場建設会社56社の受注・業績動向調査」より数値を算出
URL https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p200613.pdf

【株式会社長谷工コーポレーションのコメント】

当社は2012年より、品質・生産性の向上や意思決定の迅速化、多角的な設計の実施等をはじめとするビジネスモデル全域での活用を目的として「長谷工版BIM」を推進しており、2020年4月より原則、マンション案件の設計はすべてBIMで行っており、それに伴い施工でのBIM活用も順次拡大しております。「Arch-LOG」は、マンションの内装・外装などの各仕様を決めるための当社プレゼンテーションスペース「LIPS」(Living Image Presentation Space)の建材商品をデータベース化するもので、当社グループ全体で活用することにより、関係者間の情報共有がスムーズとなり、さらなる意思決定の迅速化が期待できます。
 今般の出資により、「長谷工版BIM」を利用したDXへの取り組みをさらに深化させ、建材商品の情報共有ツールを超えたマンションのビジネスモデル全領域での高次利用を図るとともに、業界全体のDXに貢献してまいります。

【前田建設工業株式会社のコメント】

現在、当社は設計・施工・維持管理においてBIMの活用を積極的に推進しています。その上で「Arch-LOG」の活用は、建物の完成イメージをプロジェクト関係者と共有する重要なプロセスにおいて、効果を発揮すると確信しており、今後の全案件で「Arch-LOG」を徹底活用していきます。また建築建材のデジタルカタログの構築は、建設会社におけるBIM活用のプラットフォームとして機能するだけでなく、メーカーの皆様にとっても販路拡大などの効果が期待され、建設会社とメーカーがWin-Winの関係になることを期待しております。

丸紅アークログ株式会社 代表取締役社長 三川 亮のコメント

今回の第三者割当増資は、国内建築建設業界最大級のデジタルデータインフラ構想の出発点となります。単なるプラットフォームの利用者と提供者という関係だけにとどまらず、今後も建築建設業界の幅広い関連企業に株主として当社の経営に参画していただくことで、共に新たなデジタルインフラ化を推進してまいります。
 「Arch-LOG」は、世界最先端の3D・CGビジュアライゼーション技術とWeb技術を融合させた唯一無二のBIMオブジェクト・マテリアルプラットフォームです。この方向性での類似サービスは見当たらず、建築・建設産業における“Google”や “Amazon”のような存在にも到達できる可能性を秘めたプラットフォームになりうると自負しています。近い将来、受発注やEC機能も搭載する予定で、建材に関わる全ての業務がWeb上で完結することが可能になります。最終的には、Web上で住宅を購入するような世界も夢ではありません。
 また、「Arch-LOG」の活用による紙カタログ・サンプルなどの削減は、脱炭素など社会課題の解決にも貢献しうるもので、SDGsの達成という観点からも意義あるものと考えます。これは将来的な当社へのESG投資にもつながるものと期待しております。

「Arch-LOG」とは

 「Arch-LOG」には、約120万点(2021年10月時点)の建築建材が登録されており、例えばガラス、石材、防水材といったカテゴリーや、特定のメーカー名、キーワードなどで必要な建築建材を検索することができます。また、複数のメーカー製品を比較しながら選定することができるため、従来のように膨大なカタログの中から手作業で商品を探し出す必要もなく、サンプル請求も異なるメーカー分が1クリックで可能です。さらに、「Arch-LOG」によって選定した建材を用いたデジタルマテリアルボード作成機能や、高精細CG画像もリアルタイムで生成が可能なBIMレンダリング機能※3も実装。プロジェクトに関わる全てのメンバーが参加して、施主や顧客へ3D・CGでの仕様提案ができるなど、WEBベースでのプロジェクトの「見える化」が実現しています。これにより、正確な情報共有・合意形成が可能となるため、作業時間の大幅な短縮による生産性の向上が期待できるほか、紙カタログなどの削減はSDGsにもつながります。また、竣工前の企画から設計、施工に至るまでの進捗管理、使用建材の各製品データ(取扱説明書・耐用年数)など詳細な建物情報をデジタルベースで一元管理。さらに竣工後、各製品の交換時期になると自動でアラートが鳴り、メールでお知らせすることで、長期にわたる建物維持管理のためのメンテナンスや顧客へのリフォーム提案などが可能となる「メンテナンスアラートサービス」や、BIMとの連動が可能で設計から施工までの設計フローをシームレスにつなぐことができる「仕上表機能」を来期実装予定です。

※3レンダリング機能:3Dモデルの情報と割り当てられた素材や光源などの情報からスーパーコンピューターが計算し、パース(透視図)を作成する機能

▲「Arch-LOG」のレンダリング機能でCG化された高精細なデジタル・モックアップ画像

▲「Arch-LOG」の概念図

▲「Arch-LOG」のトップ画面

▲「Arch-LOG」利用のイメージ

<丸紅アークログ株式会社 会社概要>
商号:丸紅アークログ株式会社( Marubeni Arch-LOG Co., Ltd. )
本社住所:〒105-0023 東京都港区芝浦1-3-3 浜松町ライズスクエア2階   
TEL:03-6381-7270(代)
設立:2019年6月27日
資本金:16億9,430万円(資本準備金含む)
代表者:三川 亮( 代表取締役社長 )
事業内容:建築建材総合検索サイト「Arch-LOG」(https://www.arch-log.com/)  「Arch-LOG」紹介動画 https://m-arch-log.com/introduction/